―ここを終の住処にするのはやめます。
だから貴方の心臓を使って守りたい者を守れる場所を求める。
…やはり貴方は笑いますか?
[かつて、「もし吸血種になったらお前はどうする」と王子に戯れに聞かれた事があった。
男が「今と変わりはしない日々」と口にすると、王子は喉を鳴らして「詰まらぬ」と嗤った。
「どうせなら兄の命を奪って伯爵家を奪ってみせろ」と焚きつけられ、男は苦笑して首を振った。
―自分はその器ではありません、と。]
そうだとしても俺は俺です。
他の人間にどう思われようが構わない。
[ふっと口元に薄く笑みをはけると球体は霧散し、王子のサインの入った土地の権利書が男の手元に向かってゆらりと落ちてきたか。*]