[シモンから立ち去るよりも前。まず、シモンはペーターの元へと走った。幼い子供が怪我をして怯えているのだから当然だ。当たり前だ。ペーターの言っている事は理解出来なかった訳ではないだろうに。シモンは肯定もしなかったが否定もしなかった。だから言い放った、疑うなら好きに疑うが良い、と。実際に後を追って来ないではないか。もしも、「俺を置いていくつもりか。」その言葉がシモンの口から出ていれば、苦渋に満ちた顔で言い捨てた、「友人だなんて。……私は貴方を友人と思っていませんでしたよ、一度だって。」]