そうね。
そんなに身構えなくても、殺したりしないわ。
[危険生物じゃないもの……と言いたいところであったが、その言葉は飲み込んで。
手の中のハサミをくるりと回し、近くの棚に置く。
暗に殺せばバレるぞ?という彼なりの予防線にも気付いたので、一応、安全ですよとアピールしたつもりであった。
……とはいえ、腰にナイフは装備されていたけれど。
(なんだか、つかみどころのない人ね……。)
飄々とした、物怖じしない人、という印象。そして、頭も切れる。
しかし、それだけにその知識が危険生物に及べば、被害は甚大だ。
もしソマリの承諾がなければ、おそらく自分は断っていただろう。
窒素を含む肥料……それが船内の材料で危険な……そう爆発物になることは知っていたから。
ただ、信頼を置いたソマリの依頼を受けた学者。]
持っていっていいわよ。
でも、もし足りなくなったら、また声を掛けて。
この部屋、私の許可を得ないと
……表の子……ジョニーっていうんだけど、
その子が取り押さえるようプログラムされてるから。
[そう言って、入ってきた扉を指す。
花束のことを言えば、気を回せないのだという彼の自嘲めいた表情>>323には、彼の過去を邪推してみたりもするが。
結局、そのまま、彼を見送ったのだったか。**]