―――っ……
[足を動かそうとして、大きくふらつき、壁に凭れる。
“持ち主の体温や発汗に感応して、危険が迫っていると判断したら”
……あの、それって、まさに今このときじゃねえの。
どこに転送されているというのだ、どこに。
ああくそ、待て。
先程は押しそびれていた端末のテキストに、
“船内に不審な機器を持った不審者あり、ブロンズゴート宿泊客の顔写真リストを”
と付け加え、
ぐら、と大きく揺らぐ視界の中で、押し付けられた機器の画像を添付して、送信を。
けれど、出来たことはそこまで。
ずる、と壁から滑り落ち、端末と押し付けられた機械は共に床へと落ちる。
果たして、その通信が届いたかは――…]**