『しかしだね、万が一、巫女姫に何かあっては………』
[まだ足りぬのか。アレクシスはさらにキャンディーを彼に乗せると。些か細い目に冷たい炎を宿して、反し諭すような優しい口調で。
物分りの悪い生徒に説明するかのような丁寧な口調で、論じる。]
万が一、巫女姫が、道を誤った学徒に弑されたとします。
それは此方にとっても手痛い損失ですが、代わりに彼らは義を失います。希望の象徴たる巫女姫を、一時の激情で除けてしまうなどという野蛮な行為の果てであれば――…
幾ら甘い夢を語ったところで、平和を愛する国民の皆様が、反乱勢に素直についてゆくとは思えません。
―――……これは巫女姫自身のご意志で有る事も、付け足しておきましょう。貴女は巫女姫のお言葉に、逆らう気ですか?
[巫女姫よ。安心して行って下さいませ。王府への説明は、私がしますゆえ。*]