― 内乱終結後・コリルス ―
[馬車が止まり、あの時より少し年齢を重ねた御者が扉を開ける]
ご苦労でしたわ。
[差し出された手を取らず、ステップを軽く駆け降りる。
コリルスの地に足を付けた所で、娘は余所行きのドレスを脱ぎ捨てた]
……窮屈。
[唖然とする御者の前で、簡素な服装になった娘は、下ろしていた髪を高く結い上げた。
そこに物憂げな表情はどこにもない。
ふと気付いたように、御者の方へ振り向き]
あ、ご心配なく。
自筆の手紙を部屋に置いてきましたから、貴方に咎が及ぶことはありませんわ。
[言って、にこりと微笑みかける]