―虚無の深淵―[風嵐で、風の刃で、あるいは噴射される炎で。前衛の活躍もあって後衛まで届く蔦の数は少ない。少女は少し前からタイミングを計っていた。]ユリア![本体から伸びた数多の触手が刈り取られる瞬間、花竜は少女の合図と共に吐息を吐き出した。薄墨色の空間に出現するのは数多の蔦。きつく絡み合ったそれらは花竜の力をたっぷりと含んでいる為にあっという間に虚無へと到達し、触手が伸びるのを阻むように周辺を覆う。そうしてゾフィヤ達の作る道の土台とならんと。]