[彼女が、例の組織に関わりないとは言い切れないが…。
初対面ながら共有した時間は、居心地のよいものだった。
たが、それだけではなく――…
彼女の…あるいは彼女と相棒たちの “何か”に……。]
………。
[依頼でもない。生死にかかわる状況でもない。
怪我をしていたわけでも、助けを求められたわけでもないのに。
ただ、個人的な気持ちから関わりたいと感じるのは、
任務と生きがいが同義のような男にとっては、珍しいことだった]
できれば、例の組織には関わらず、彼女の夢が叶うならいいが…
[軍属時代の伝手から耳にした「組織」の不穏な噂を思い出し、眉を顰める。だが、おそらくはそうもいくまい。彼女曰くの、“夢か幻のような話”を、
それでも、求めて来るほどの夢があるのだろうから。
白い犬を撫でようと伸ばされた、華奢な腕。
その掌の中に、彼女が求める夢や願いの一端なりとも、
いつか聞ける機会があればいいが…と思う]