――海へ。[数日後。 久々に部屋を出た娘は、余所行きのドレスを着て、一言そう告げた。 ぼんやりと遠い眼差しに、召使が何事かと問うが、娘は緩く首を振り] いえ。 ……最後に、見たいのです。 3年前に見た、そして戦乱の折見る事が叶わなかった、あの海を。