― 時を違えて、某日 ―
[その日はまた別の戦場であっただろうか。
それとも、皇帝陛下の凱旋とも呼ぶべき勝ち戦の最中だったか。
少なくとも…私の上官が今より大分老けた顔の爺さんの頃だったように思う。]
水雷艇に乗れ…ですか?小生が?
[なんとなんとの難破船、戦中直々に水雷艇乗りをしないかとのお達しが下って、拝命のその場に後に怖い人という認識を持つことになる上官>>285の姿もあったなど、当時の私は知らない。
口答えも大して気にしない爺さんの上官の方へ嫌ですよ冗談キツいですなどと断り文句を吐いていたらしこたま怒られた。]
だって…ねえ、小生は痛いの嫌ですから。
遠くからぱんぱか撃ってる方が気楽でしょう?
[口にしたのは半分嘘で半分本当の言い訳。身の危険なんて大して気にもしていないけれど、水雷艇の撃沈率はそれなりに、高い。
戦場で身軽に行動出来なくなることは何よりも避けたい。…というのは、帝国の勝利の為というよりも私事の為の思惑であったけれど、それを口にすることは憚られ。]