[祭りの日、夜遅くに帰宅した父へ、少女は、
「もう隠れながら生きるのはやめよ」
と告げた。]
[当然、最初は口論になったけれど。
父が折れたのは、翌日の午前6(6x1)時頃。
なんだかんだ、少女にありのまま生活させなかった事に罪悪感を抱いていたのだろうか。
この日から、冷淡だった父の態度も少し軟化してきた気がする。]
[姓名を元に戻してからは、少女が昨年の事件の中心人物であった事に気づく者もぽつぽつ現れ、後ろ指を差される事もあったが。
それも、長く続くものではなかった。
吹っ切れた相手を槍玉に挙げても、面白くもなんともないということか。]
[ともあれ、糸瀬英美改め志賀英美は。
“普通の女の子”の生活を、取り戻しつつあった。]