[取り出したのは、片手で持てる程の小さな機械。
黒塗りで、ガラスの隙間からスイッチや配線が見え隠れしている。
何処にでもあるようで、一度も見た事がない。そんな形状。]
自分、こんなカラクリには結構詳しいっす。だからみんなに配って回ってるんで。
持ち主の体温や発汗に感応して、危険が迫っていると判断したら簡易の転送装置が作動して持ち主の安全を確保してくれるっす。この程度のパワーじゃこの船からは脱出できないってのが、残念すけどね。
一度しか使えねえから、気をつけてくだせえ。いざという時にはきっと役に立つと思うっすから、持っていてくださいよ。
[半ば強引に手渡すと、そのまま踵を返して通路の奥へと歩を進める。]
それじゃあ、自分はこれで。