(聞くんじゃなかった……)
[詳細な事情までは、男には分からない。
それでも、同じく嘗て家族と呼べる相手がいた男は大まかに察した。
今は家族がおらず、良くない別れ方をしたんだろうと。
察する事が出来たのは、同じ匂いがしたからというだけではなく、男にとって忌々しいものの影響でもある。
聞いた事を後悔しているのは、それが要因だ。
相手に失礼だからとか、そんな理由じゃなくて
男性自身の為に、聞くべき事ではなかった。]
そんじゃあまた後でって事で一旦お開きにすっか
パトロール中の警備員さんをずっと足止めしてちゃ悪いしな?
[言葉通りの理由も勿論あったけど、これ以上余計な事を聞いてはいけないから
一旦別れて時間をおくべきだと思っての事。
「つまみになりそうなもん探しておくよ」と笑ってみせて、こちらの懸念を感じさせないよう振る舞いつつ
そのままお開きとしてくれるなら、男性の背中を見送った後ショップを回るつもりだった。*]