[それでも、体は理解していたのだろう。遠くで微かな異音が鳴るのを耳にして、咄嗟に横へ飛びのく。先ほどまで立っていた空間を、矢が貫いていく。躱せたのは直感と幸運のたまもの。そして、陽動の一矢だったゆえ。矢が飛来してきた方を向けば、目の前に騎馬と剣があった。半人半馬のセントールもかくやという見事な人馬一体。正確無比な、冷酷と非情の意思が形になったような、剣の軌道。]