― クラタエグス砦 ―
[全ての情報(とは言え、ほぼこちらが聴き手となっていたが)を交換すれば、砦への道を辿る。
ただ、今度はウェルシュ……というより、エリザに無理の無い範囲に、速度は落としただろうか。
何れにせよ。
ウシャスを休ませ思うのは、敵方の“弟”の事。]
――――……拙い、な。
[海精が勝てば、それでいい。
だが。……戦の常、もし氷竜の勝利の女神が頬笑んだら……敗軍には居られないと、何も知らずに育っただろう“弟”が担ぎ出されるであろう未来が、透けて見えて。
それでなくとも。分家の落胤が敵軍に属していると本家に知られれば、勝利を収めど尚懸念は残る。]