― ハールトの港 ―
[倉庫の並ぶ船着場。
方々から上がる火の手。
現状、向こうから弓で仕掛けてくる様子はなさそうだと観察しつつ、悲鳴のする方へ馬で駆ける。
人を襲っているのは、魔物ではなく人の姿。]
まったくもって、下衆としか言えんな……。
[忌々しく吐き捨てつ、馬を繰り、すれ違いざまに切り捨てた。]
もう大丈夫、ひとまず向こうへっ!
[怯えた表情を向けた村人へと、指示を出して、更に駆ける。]
[ライナーの元にも、やがて先陣が王子ではないと届いたか。
もしかすれば、以前もハールトにて守備隊を統率していた男だとも伝わったかもしれない。]