[寸劇を終え 一礼した老人と人形に、拍手と笑顔が贈られた。
痩せこけた老人の頬に、ほんのりと血の気がのぼり、
皺に埋もれる細い目の奥に、微かに誇らしげな光が浮かんだ。
彼らの前の開かれた鞄に、幾らかのコインや食べ物が投げられる。
あまり多くはなかった。
何かをあげたくても、無理な生活の人もいただろう。
どうしても、と母親にねだって貰った一枚だけのコインを、
寒さにかじかんだ小さな掌で、鞄に向かって一生懸命に投げた。
いつかまた、母親に笑顔になってほしかったから。
年老いた人形遣いとその人形に、生きてほしかったから]