―小部屋―[>>320この話を選んだのは何故だろう。男にとっては、彼の話を引きだす為の代償に過ぎなかったが。それでも無意識に、最大限の誠意を見せた結果ではあった。やがて静かに、彼>>320は語り始める。ぽつりぽつりと零される身の上を、相槌を交えながら聞き。純朴なその声は、何処か耳に心地良かった] ――…貴方は。 御自分が、赦せないのですね。[愛されていないと、彼は言う。男は其れを、受容する。愛を語る何処か危うげな姿を、微笑みながら見守っている]