[時折、インクが掠れる。ペン先が摩耗し、文字が滲んで使い物にならなくなった時もあった。そんな時は軍務の合間に街の職人を探して、修理を頼んだ。買い直した方が安いですよ――と繰り返し言われながらも、黙って笑って金を積んだ。『お前が迷ったときに、自分の道を照らせるように』手渡される時に篭められた使い方を、自分はまだ出来ていないから…と]