―忘れ形見―
[そいつと出会ったのは、十年以上も昔のことだ。
当時のダーフィトはまだ学生という立場であり
そいつはダーフィトの通う学校の教師だった。
ちゃらんぽらんなやつで
遅刻は平気でするし、釣りが趣味だったから
授業の時間に釣りをしに行っていない、なんて
よくある日常茶飯事のことだ。
教師のくせにと言われれば
教師だって人間だからいいじゃないかと
煙草を吸いながら答えるような奴だった。
気に入らないと、ダーフィトは思った。
方や決められたレールに乗っているようで
自らの意志の赴くままに暮らしている彼と
方や家やら親族やらに縛られて
決められた道を外れることも出来ず進む自分。]