― リンドブルム家 ―
[亡き兄からの届け物がある>>321、と。
そう、伝えられた時、
訪れたのは未だ年若い女性で、それも戸惑いを深める要素となる]
「アイリス・リンドブルムと申します。
……座ったままで、ごめんなさい」
[そう済まなそうに返す姿は、一目で身重と知れるもの。
礼の後、伝えられた要件>>322に、ひとつ、ふたつ、瞬いて]
「ええ、勿論ですけれど……一体、何を?」
[そう、問いかけて。
返された子守唄、という言葉に、はっと息を飲んだ。
そのまま、声一つ発することなく、歌われる子守唄に聴き入る。
おぼろげな記憶にしかない、母の子守唄。
兄が覚えている、と言っていたから、ちゃんと教えてとせがんだ日々がふと、呼び起こされる]