[事情を聞き出した兵は、武器を何処に運んだのかは口を割らなかった。だが、たとえ聞き出せたとしてもそれ以上の深追いはしなかっただろう。なにせこちらは所詮は数十人にも満たない集団。北へ運ばれようとする物資に手を出せるわけがない。むざむざ敵地に乗り込むようなものだからだ。殴られて情報を聞いた兵には、申し訳ないがもう一度寝てもらって工廠の外に運び出して木に括りつけておく。情報が伝わる時間をなるべく遅くするためだ。心配しなくとも、起きればそのうち自力で脱出するだろう]