― 回想・武術教官室 ―
そうですね、学生時代は実によくここでお世話になりましたが。
[兎に角、運動能力が悪すぎた。
体格も悪ければ、兎に角武術のセンスがなさすぎたのだ。
なので、何度も何度も居残りもあれば教官室にコツとかありませんかなどと聞きにきたこともあったものだ]
ええ、モーリッツ先生はお元気ですよ。
冬は少し体調を崩しましたが、最近は元気でまた散歩に出歩けるくらいに回復した、と手紙で。
教え子の卒業式には来たいといっていますから、ひょっとしたらここに出てくるのかも。
[モーリッツのことについて話すとき、自然と表情が和らぐ。
師と教え子以上の絆が二人の中にあるのは、確かであった]