[一番最初の記憶は、乾いた大地。
白くひび割れた土の上に、立ち枯れた樹が、自分に根を向け幾重にも折り重なって倒れている。
ざく、ざく、ざく…歩を進める度に、軽い音を立てて足元の土が崩れ去る。
二本の足で歩くのは大変面倒だ。
自分は何故、この姿に「造られた」のか。
傍らを歩く相棒が、空気を震わせながら「くぅ」と鳴いた。
真っ白で固い四足は道を歩くのに便利そうだ。羨ましい。
頭蓋の空洞に嵌められた藍玉の「眼」が、真っ直ぐにこちらを見上げていた。
いや、見上げているように自分が動かした。]