[昔のこと>>125、>>159で、あまり青年が言いたがらないことが一つ。
嵐激王の時代、当時のファサン家当主だった半妖であった人と、様々血をひく人が婚姻したという話が代々伝わっている。
その影響か身体的な特徴であったり、力であったり、が表出する者が一定数いて。
青年は、幼い頃から寝物語として聞かされていたし、アイリや繋がりがある妖たちも知っている話で。
『なにか』に襲われ、怪我を負い、だいじなものが狙われた事実に、
眠っていた妖としての力と獣人の力が半端に合わさって発現してしまい、
『なにか』が半死半生の瀕死になった。
『なにか』がどうなったかは、幼かったからか、誰も教えてはくれなかったが。
アイリが泣いた理由を青年は知らない。
知らないけれど、半端に発現した力が怖がらせてしまったんじゃないか、という思いからか、その後、力は現れることがないまま。
青年がフレアと盟約したのは、そのあたりだった。
……完全なる余談ではあるが。
現当主が、フレアに失伝している『双聖魔』の行方を聞いて、
フレアが本気で怒り、今も現当主を許していない、とか。*]