― 平原 ―[西に展開した騎兵隊から、敵影発見の報が届く] ……そっちは任せる。[返す命は、端的なもの。男の意識は、北の森から現れた敵の第二陣へと向いていた] さて、今度はどこまで粘る気かな?[口の端上げて、漏らす呟きの温度は低い。普段はやる気なく、戦場に至ってもどこか緩い雰囲気を残す男らしからぬ様子――と。本性を知らぬ者の目にはそう見えようか。対する敵にとっては、ここまでの戦況とも相まって酷薄さだけが目に付くのだろうが]