― 夜 ―[レトを伴って城館を出る。途中、使用人を呼んでいくつかの準備を指示した。その際、使用人から『コンラートが評議会のものと連絡をとっていたようだ』>>156 と耳打ちされた。そうか、とうなずき、また何かあれば知らせるよう言い置く。知らせを聞いて特に何を思うでもなかったが、情報としては重要だ。評議会の内部で様々な思惑が渦巻いていることは承知している。その波に飲み込まれぬために情報は役に立つ。目端の利く使用人と懇意にしておくことは、利便以上の意味があった。]