[既に本人も、原因究明は諦めた。医学的見地でも特定不可。
だが、こんな与太話を耳に掠めた者も村にいたかも知れない。
丁度、ペーターの身体が変になり始めたのは。
正確な情報では無いが、大体思春期の成長期頃では無いか?と。
人間とは、思考に連想を連ねる生き物でもある。
大体その頃と云えば、村人の記憶に鮮やかな出来事。
10年前に、新婚したてだった宿屋の主人や園芸館の妻子が。
銀嵐に、冷酷な吹雪の洗礼に見舞われて、その命を無惨にも散らした年。
あの日の銀嵐は、何人ものの命を掠め取った、凶悪な物だから。
科学的な根拠もないくだらない噂だが。
銀嵐にでも呪われたのではないか、と…]