― カレン・騎士公館 ―
[離れていくイングリッドの手に、ちらりと視線を落とす。
彼女の最後の言葉には、少し驚かされた。
魔軍のためであれば、利敵行為だ。
でも彼女はただ、彼のことだけを考えているのだと知れる。
テオドール。彼女にそこまで思われている男。
自分が知らない彼の顔があって、そのためにイングリッドは彼を救おうとしている。
そう考えると、不思議な心地だった。]
……信じてくれてありがとな。
後悔は、させねえ。
必ず、やり遂げてやる。
で、そのチャンス、今すぐじゃねえと無理か?
俺はすぐには動けねえから―――
[ちらとシェットラントを見た。]