― 開戦/巡洋艦ヴァイスメーヴェ ―
[さて、合図はあっただろうか。>>308 水柱を皮切りに、ヴィクトリアが大きく舵を取る。]
う、わぁぁっ―――……!
波が高いからッ、気を付けてっ!
[強かに背中を壁にぶつけてしまった。
ヴィクトリアに慌てて忠告を寄越すが、その声が震える。
然し、ヴィクトリアの航海の腕は惚れ惚れとする。
まるで黒い雲の合間を駆け抜ける、カモメだ。
悪路を物ともせず、白い閃光は戦場へと舞い降りた。]
………は、ぁ。
[帝国軍の船を目前に控えると、ウェルシュは息を飲んだ。
―――大きい。
見るからに堅牢そうな帝国の戦艦は、まるで海に現れた巨人だ。
この巨躯から撃たれる拳は果たして如何程か。]