[じっと彼女を見つめるままに、揺らめかす指が掻く根源。
質量があるわけでなし、されど光に掌翳したような温もりが伝播。
生来なら互いの身を傷付けあうはずが、心を傍に置く真実の伴侶となったことで、訪れるはずの痛苦はじりじりと焼く焦熱に転じ、身を引き裂くような苛烈は、心臓を擽るような戯れへと変わった。
身体だけでなく、心までも精神までも交接重ねるよう、手背をゆるく摺り寄せ。>>276]
―――…、抱きしめながら、口付けて、
繋がりながら、強請られるような……、そんな心地です。
[僅かな逡巡挟むが、唇を弓形に撓らせ告げる素直。
そうして、中指を緩慢に鉤型へ曲げれば、彼女の胸奥に、胎内に、甘い闇が広がりを見せ。快癒の兆しを見せる無数の闇を細く絞って、彼女を浸食。
根源に触れて次から次へと、舐める如く這い回り摩擦を繰り返す。接触の度に生まれるのは、心身を燻る淡い疼痛か。>>278]