―回想・レストランでアデルと―
[礼には同じく礼を返し、相槌を打ちつつも視線は男の手元に返った資料を凝視する。
話を聞けば発表用ではないとのこと。]
そうでしたか。画像が俺の故郷によく似ていたもので、つい驚いてしまったのですよ。
……もう一つ良いでしょうか。
この画像は何処で入手されたのですか?
[彼の名も、研究員であることすら知らないので、自分よりも若そうな男に先生と問い掛ける。
故郷に似ている画像を見るだけで驚いた様子を見せてしまったが、普通に考えれば可笑しいことだろう。]
先生は、トゥランタという星をご存知でしょうか?
今から二十年くらい前に滅びたばかりの、惑星連盟にも加入していない、一般人にはほぼ存在を知られていない星です。
その星の景色に、よく似ていましてね。
[寂寞の色を瞳に浮かべ、ぽつりと語る。
自らの出自を人に語ることは基本無いのだが、資料を持っていた先生ならば何か知っているのではないかと語る。]