―回想/昨夜・集会場を出てから―
[座っていた場所から近い出口は裏口だったらしく、
集会所の裏手に出た。
道なりに沿って、ぽぅ、ぽぅ…、と灯る街燈の光。
傍らの木>>221の上、闇に同化したカラスの騒ぐ声や羽音が響く。
星月の光の届かない遠くの樹々の奥には、
昼間に出会ったゾフィの、風に揺れる髪のように――…深い暗闇。
ああいうのを、鴉の濡れ羽色というのだろうか。
子どもの頃、目立つ赤毛をからかわれて喧嘩ばかりしていた
腕白だった男には、ゾフィの黒髪はとても綺麗な色に思えた]
…そういえば、ゾフィも無事に村に着けたかな。
[途中で道を別れた彼女>>120。
撫でてくれた人の名の響きを、耳覚えていたのだろう。
逢えるとでも思ったか、
足元の白い犬がワン!と嬉しそうに鳴いた]