「全機散開! 戦闘準備!」
[サー! と返答する声が重なり合って無線をハウリングさせるのを聞きながら、彼もまた武装のロックを解除する。
索敵担当が接敵までのカウントダウンを開始する。
部隊に緊張が走る]
『接敵まで10……9……』
[カメラを最大望遠に設定し、索敵担当から送られてくる情報を元に、凝視する。
真っ青な空に、緑の点が生まれた]
「迎撃準……」
[クラウズの隊長は優秀だった。
どんな苦境であっても自分を見失わず、多くの仲間を救った彼は、部隊の内外問わず信頼され、上司の覚えも良かった。
そんな優秀な彼であっても、自分の想像の上を行く存在を前にしてはあまりにも無力だった]