―回想:5年前・ベルサリス学館―[生徒が鍛錬している稽古場へ行く途中のことだった。廊下を歩いていると、ふと聞き覚えのある、男にしては高い声に呼び止められる。>>218]ん?どうした?剣の稽古だったら今からは既に先約があるのだが…。[――フィオン・ヴァイサネン。ただでさえ真面目で有能な生徒は多いが、中性的な彼女はどこか強い覚悟の意志を瞳に宿しており、その目が印象深かった。何やらわけありだということは、軽く誰かしらから聞いていたが、特に詮索することもなく。]