[二体の土人形が崩れてジェムとなった直後に、セルウィンの身体にも自由が戻り、豊かな楽の音はふつりと途切れる。
旋律が失われると、水のマリオネット達もまた崩れ落ち、パシャンと熱を帯びた大地を濡らした]
……これで終わり、でしょうか。
[ヴァイオリンを下ろし、辺りを見回す。
のしかかるような倦怠感は、なるほど魔力の消耗が招いたものらしい。
おかげさまで、“蛇”が回復手段としてジェムが必要と言ったわけが理解できた。
先ほどの少女は疲労困憊した様子で、その彼女を守るようにいつの間にやら鬼の面の魔女が合流している。
束の間、渋面を作ったのは、その面影が見知った青年と重なったからだ]