[――― 一ヵ月後、小鳥は無事に回復した。
痛々しい傷跡は目立つこともなく、食欲旺盛、
そして今にも飛び立ちそうに真っ直ぐに伸びた羽根を広げている。
名残惜しいとは思えど、鳥は空に羽ばたくものだ。
籐の弦で編んだ籠に大事に入れて、カークと共に空に放ちに行った。]
ああ、良かった。元気そうだね。
カークの包帯が良かったのかな。
もう落ちるな、達者でやれよー!
[その小鳥は若草色と黄色とのツートン。
チチチと鳴いて飛び立つ小鳥の羽の色が、
丘から見守る少年二人の髪色と重なって、空を幾度か旋回したのち、徐々に離れてゆく。]