― 墓地へ向かう前のこと ―
[ ささやかな言葉の遣り取りで
笑い声を交わすことが出来る少しの時間。>>310
…それを楽しいと――嬉しいと感じたとしても
胸中深くに食い込んだ不安の杭は抜けてはくれない。
世間話めかして持ち出した、
一か月後に迫る王位継承の話。>>311
争いにならなければいいと仄めかした。>>295
…確かに争いにならなければいいとは思っていた。
このまま、諍いの起こることなく
次代の王が即位し、国が平定を保つならば。
……本当に、平和な日常が続いていくならば。 ]