[>>252アレクシスが吹き出すのを堪えているのには気付いたが、続く嫌味のような響きに意識が逸れる。
まさかフォローのつもりで紡いでいたなどとは思えずに。]
…っ、俺は…
[そんなつもりではなかった、と言い切る自信はなかった。
城主から話を聞かされていた時、自分は確かに彼に珍しいモノを見るような目を向けていたのだろう。
――彼はこれまでに自分を射殺そうとするような視線を受けた事があったのだろうか。
男は魔物の殺気立った視線に晒された事はあったが、
自分達と同じような存在にそういった視線を向けられるのは一体どんな気分だろうと考えかけて、やめる。
不用意に他人に立ち入る事を男は好まない。
これは教会の施設に属していた頃からの癖だ。いちいち情を移しては同胞達を失う事に心が耐えきれない。
人間でなくなってからは、一層それは顕著となった。]