[嘗ては至って健康児であった身が、ある日を境に身体を崩したのは、余人の知る所だろう。
寒い日には、肉体の抵抗力を無くし、怪しい咳や発熱が起こりやすい。
そして、これが何よりも奇怪な現象だが。
まるで、突然に成長阻害が発生した様に、成長の傾向が見られなくなった。
食療法、薬療法、先代であるゲルトの父も、尽くすだけの手尽くしはしたと受診した当事者は認識しているが。
生まれ付きの障害で時折みられる小人症や、純粋な栄養欠落でもない。
1年前、失くした父の後と共に、各所管理されていた、患者カルテの中にも、ペーター・セルピエンテの成長阻害は、原因不明との匙投げの後が遺されていた事だろう。
そのお陰で、医療の雑学のみ、詳しくなった時期も存在したが。
この数年は経過確認の様に、こうして軽い検診を受けるだけが殆どだ]