[心臓はソマーリュの手から離れ、無数の朱い花弁へ変わる。
幻想的なひと時の時間を経て、花弁は人の形へと。]
ソマリ……?
[自分とは対局に、右に漆黒の羽根を生やした少年。
細やかな刺繍の入ったロングチュニックを着た長い髪の彼は、
チュニックの裾をちょこんとつまんでお辞儀した。]
『ありがと、――まさかお前にお礼を言う日がくるとはね』
なんか変な感じだな。
[過去の日を取り戻したような少年の姿を見て、苦く笑った。
少年は片翼の羽根を広げてどこかへ飛んでゆく。
ああ、いいなあいつは飛べるんだ、とかどうでも良いことを考えて――]