……もっと、いろいろ。 教えてほしかったんだけど、な。[ぽつり、と零れるのは小さな呟き。特異な出自を持つ自分を、他の生徒と分け隔てる事無く扱ってくれた。そんな些細な事でも、降りてきたばかりの頃は嬉しくて。結果、学館に来て、最初に懐いたのはマーティンだった] それに……ちゃんと、名乗りたかった、し。[真名を告げるのは、相手への最大限の敬意。いつか、ここを離れる時に、それまでの感謝と共に、と。そんな風に思ってもいて、だけど、それは叶わなかった]