[今は人の形を得ているが、本質は獣であって血も昏い。 頑強である分、痛覚は人の子より鈍く、脇を削られた程度の負傷は些事である。寧ろ、粉砕に注力したお蔭で、狙い通りの剛腕を奮えた。悪くない。 再び五指を握り込み、二の腕から拳の先まで力を巡らせ。] ――――っ[そこで弾ける雷鳴。大気を摩擦させる円舞曲。>>298 魔力を嗅ぎ分けずとも、王の資質は間違えない。 宛ら結界か加護のよう。 一瞬片目を歪め、滲ませるは複雑な表情。 彼の人の手を煩わせてしまった自責に駆られるが、それ以上に。]