ああ…そうっすね、名誉なことかもしれないっすねー。
…でも…
それはほんとに幸せなんっすかね?
[過った記憶に、流されるように肯定を。
しかしそのあと小さく呟いた。
何かを持つということは、何かを失う怖さを得るということ。
女は、それを恐れていた。
そして何かを得れば、何かを失う。
今の生活を失うことが、嫌だということに、女は気づいていない。]
…あ、いや、
…でも、恋天使は危険種族なんっすよね。だから良いことばかりでもないのかもしれないっす。
アナタも気を付けてくださいっすよー。
[誤魔化すように続けた。
どうして恋天使が危険種族であるのか、女は詳しくないから、取ってつけたようになってしまったが。
まさか目の前の相手がその『恋天使』だなんて、思いもよらずに。]