俺には結婚を誓い合った女性がいた。女性そのものは今でもいるが、俺はまだ独り身だ。俺は戦場に駆り出され、本隊からはぐれてしばらく行方不明になってた。戦場は、そうだな、アフリカのどこか、としか言えない。いろいろあって、原隊に合流するまでに二年近くかかったんだが、俺と連絡が取れなくなった時点で司令部は俺が戦死したものと判断したらしい。戦死の報が彼女のもとへ届けられた。前線配備を解かれた俺がようやく帰国したら、彼女は他の男と結婚してたってわけだ。どこにでもある与太話の一つだよ。