あまりお時間を頂くのも申し訳ありませんので、早速本題に入らせて頂きます。
御貴兄、リエヴル・リンドブルム様よりお預かりしたものがあります。
お聞き頂けますでしょうか。
[そう伝えるローズマリーの手に荷物のようなものは無い。
物品ではないことはそこからも知れよう]
───”お約束の子守唄”を。
どうかお聞きください。
[そう前置いて、ローズマリーはすっと息を吸い込んだ。
唇から紡ぎ出すのは、あの場所で聞いた、リンドブルム家に伝わるとされる子守唄>>129 >>130。
リエヴルのような声で歌うことは流石に無理だが、音も、言葉も、聞いたものと違わずに奏で。
込められる想いもまた、同様に歌に込める。
しばしの間流れ行くおとは、静かながらに部屋全体を包み込んだ]