王府からの援軍は、西に回らせろ。西側の砦との連携をとるつもりならその方が都合いいはずだ。諸侯の別荘地域を守ることにも繋がるから、ユレも文句は言うまい。
[5桁にまで膨れ上がった解放軍の進軍は、男の耳にも入っている。もし彼等が陸路を来るなら、先に目にするのは王府軍の旗印になる。王府から援軍が出ている事を知れば、転進も考える事が出来るだろうとの目算がある。
何よりも、アレイゼル領主の主力は恐らく北寄りから攻め寄せてくる。
王府軍とアレイゼル領主軍を直接に対峙させることを、男は良しとしなかった]
王府に仇為す逆臣ソマリ・フル・アレイゼル討伐は、このラウド・レイ・クレメンスにお任せあれ、とでも、伝令しておけ。
[アレイゼル領主は、クレメンス領主と戦する。が、王府軍と本気で事を構えてはならない。
この戦がどのように決着するとしても、それは守るべき一線だ。
ソマリ・フル・アレイゼルが、男の思う通りの男だとすれば、それは彼自身にも判っているはずだった]