[思考に割り込むように、晴れた空の色が目の前に広がった。ああ、昼の色。懐かしい。耳に届く自分の名は、心地よい響き。なんだかとても、心が素直になる]本当に、俺の話なんて、大したものじゃないのですよ。元は行商人の家の生まれで。でも両親が商売に失敗して、俺は教会に預けられました。それからは、信仰の道だけに生きてきた、何の面白みもない人間です。……人間でした。[何を否定してもいい、という穏やかな誘い。]俺は愛されてないんです。愛は与える物です。愛は許す事です。愛は認める事です。