[>>246味が落ちない内に、という事は、この血液の持ち主はこの城内にいるのだろう。眠らされているのか、繋がれているのか、どちらにしろ男の趣味ではない。自分の血親に向かって掲げられるワイングラス。目の眩むような血の芳香に魅せられた男もまた―…]――…乾杯。[瞑目し、この中に入っているのはワインだと思おうと試みるも、呷った際に喉を過ぎていくのは人間の血液以外の何でもない。ワインよりも舌に馴染むその味は、どれ程高級な美酒よりも男の身に馴染み、精神を高揚させる。]