― Nルーム ―
[花屋を後にして、マーティンに連絡を取ってみて。
彼が出れば話を聞き、そうでないなら忙しいのかなと、一先ず医務室に顔を出そうと頭に留める。
まさか、彼が警備部の制服に袖をとおしている>>99などとは知らず。]
ごめんね、遅くなったわ。
[すでに時間がたっているし、運んだ人がいなくとも特に気にも留めず。
もし誰かいるようであっても、一先ずアデルの眠るコクーンの上に花を手向ける。
そして、手を合わせ目を閉じた。
(……おやすみなさい、アデル。)
現場の言葉が蘇ってきたため、決して声に出すことはなかったけれど。
せめて繭のなかでは、良い夢を……そう思う。
その目に涙はなかったが、少し前に会話した人間のその姿に、胸が痛んだ。
そしてその後、マリエッタ、アリスバックの眠るコクーンに花を飾る。
早く良くなりますように、痛みがありませんように……と。
飾る花の言葉に乗せて。]